II. 素材編
とてもボリュームの多い章です。ダイヤモンド、色石、真珠、貴金属からそれぞれ必ず出題されると考えて下さい。
計算問題も出題されます。
II-1.宝石の基礎知識
1.宝石とは
美しさ、耐久性、希少性、携行性(身につけられる)のあるものをいう。
- 宝石(鉱物、有機質)
- 結晶/非晶質、単結晶/多結晶 ・・・意味と代表的な宝石を覚える。
- 鉱物名、変種名、宝石名(鉱物名:コランダム、変種名:ルビー)
2.結晶構造と性質
周期性、異方性、劈開、モース硬度。言葉の理解。
- 結晶のもつ一番大切な特長は?---◯◯性と××性である。
- ダイヤモンドの粉でダイヤモンドを研磨できるのは、◯◯性による。
- 非晶質は「等方的」である。※異方性がない
- 鉱物の分類:オパールは?ひすいは?---非晶質?多結晶?
光の屈折:単屈折と複屈折
- ダイヤモンドは金剛光沢、ルビー、サファイア、エメラルドはガラス光沢
- 単屈折:非晶質(ガラス)、等軸晶系(ダイヤモンド、ガーネット、スピネル)
- 複屈折(光学的異方体):非晶質、等軸晶系以外の結晶は、光は2方向に分かれて屈折する。
色の原因
- 380~780nm(可視光線)のうち、特定波長が結晶に吸収されると、結晶は残った波長の色を示す。吸収がまったくなければ無色透明。
- 遷移元素を主要な成分として含む自色鉱物:トルコ石、孔雀石など
- 対して、他色鉱物は遷移元素を微量に含み、様々な色調を示す。
3.天然石とその処理、模造関、合成石および人造石
天然宝石、模造石、合成石、人造石、類似石の違い。
合成石は人工の石であるが、天然宝石と化学組成、結晶構造とも同じであることに注意。
処理の理解。
- エンハンスメント・・・宝石本来の美しさを引き出す。価格や色はあまり変わらない。
- トリートメント・・・価格が大幅に変わる。色が変わってしまう。
4.鑑別書とグレーディングレポート
- 鑑別書・・・科学的根拠をもとに、宝石の種類を断定。
- グレーディングレポート・・・ダイヤモンドの品質をグレーディング(4C)
II-2 ダイヤモンド
ダイヤモンドは宝石の中でも特殊な位置づけにあります。鉱物特性、硬さと劈開、カット、産地、形成条件、4C、類似石などについて学習します。
1.ダイヤモンドの歴史

(写真は10カラットのダイヤモンド[楽天])
発見の歴史と近代におけるデ・ビアス社のダイヤモンドの価格と流通に与えた影響。
2.ダイヤモンドの形成と産地
一次鉱床、二次鉱床の理解と、一次鉱床(パイプ鉱床)の地理的条件を読み取る。
※大陸にしか存在しない鉱山。
3.ダイヤモンドのユニークさ
- 屈折率とカットによって、強い輝きを発する理由を図示できるようにする。
- なぜ硬いのか?なぜ劈開がおこるのか?異方性を利用した研磨。
- 親油性。水をはじき、油になじむ。⇒取り扱い上の注意点。
- 熱伝導率が銀の5倍。これを利用した簡易鑑別は?
4.ダイヤモンドの品質:4Cプラスα
【カラット】
- メトリック・カラット、記号はct。24分率のK(カラット)と混同しないこと。
- 1g=5ct
- 表記は1/1000まで測り、小数第3位を8捨9入するか第3位まで表示。
【カラー】
- ダイヤモンドの「黄色味」による評価。無色に近いほど高いグレーディング。
- 光源は「北半球の北側の午前中の光」がよい。もしくは同一条件の人工光源。
- ファンシーカラー:ブルー、ピンク、パープル、レッドなど評価が高い。

【クラリティ】
- インクルージョンの種類とグレーディングの方法
- 10倍で拡大して評価。
- ブレミッシュ(外部特徴)・・摩耗、傷
- フローレスからI3まで11等級
【カット】
- 人間が美しさに関与できる唯一の要素がカット。
- トルコウスキー・プロポーションが基準。
- カットの評価は「プロポーション」と「フィニッシュ(研磨・対称性)」
5.合成ダイヤモンド
- 1955年、アメリカGE社によって0.1mm程度の微結晶の合成に成功。研磨材料として生産。
- 1970年、GE社によって1カラットを超える宝石品質の合成結晶に成功。
- 現在では30カラットを超えるものもある。
【類似石】
- あくまで「似ている」のが類似石。GGG、YAG、CZ。CZ(キュービックジルコニア)は最初から類似石として開発された。
- 鑑別は容易である。
【処理法】
- 放射線照射、熱処理---ピンクやブルーに変えることができる。もちろんトリートメント。
- ペインティング----ガードルに色を塗る。黄色みのダイヤに青系の色を塗ると、補色効果で色味が消える。
- コーティング----灰青色のガラス状の物質を表面に蒸着。
- 充填処理----フェザーにガラス状物質を充填。
- 漂白処理---レーザーで小さな穴を空け、黒色のカーボンを酸で漂白する。
- 高温高圧処理---GE社によって開発された技術で、ガードルに[GE POL]の刻印が入る。褐色のダイヤモンドを無色に変える。
6.取り扱いと手入れの方法
耐久性について理解する。耐久性には ・硬度・靭性・安定性がある。
- 硬度は10。しかし注意点は・・・?
- 劈開があり、方向によっては欠けやすい
- 衝撃に弱い
- 安定性は?修理時の注意点は?
- 親油性により、汚れます。
- ぬるま湯に中性洗剤でクリーニング。洗っていいんですよ。
- 超音波洗浄器が便利。注意点は?
II-3 カラー・ストーン
覚えるべき項目が多いです。じっくり時間をかけてください。
1.カラーストーンの魅力
- 宝石の役割にはどんなものがあったか?
- ここで誕生石を覚えてしまいましょう。
2.宝石の名前
概論でも学びましたが、具体的な色石について見ていきます。
- 鉱物と有機質(琥珀、さんご)に大別
- 鉱物名と宝石名の違いを復習
- 命名の由来。ルビー、サファイア。ムーンストーン、ブラッドストーン。タンザナイト、ツァボライト、クンツァイト。
- 意味+ite(アイト)系の宝石名は、同時に宝石の由来、産地などがわかる。
- フォールス・ネームとコマーシャルネームの理解。その具体例のチェック。
3.宝石と宝飾用素材の分類
- JJA/AGLは「宝石」=「自然物質のみ」と定めている。
- 有機質宝石:真珠、さんご、象牙、琥珀。4つの宝石、もともとは何?
- 有機質宝石の取り扱い。ウィークポイントは?
- 鉱物種の分類(復習)とその具体例。ジェダイトは?
- ラピスラズリは岩石(2種以上の鉱物の集合体)
4.エンハンスメントとトリートメント
- エンハンスメント(改良)とトリートメント(改変)の違い
- エンハンスメントの効果-----天然の資質に応じて発揮される。石の個性が出る。潜在的因子に依存。
- 「エンハンスメントは以前から広く容認されてきたが、近年ではエンハンスメントの情報開示が世界的傾向となっている」
- トリートメントは色や外観をまったく変えてしまうこと。
- 商取引では「処理石」であることを明らかにする必要がある。
- 具体例のチェック。特にルビーの加熱、サファイアの加熱、ダイヤモンドの放射線処理、エメラルドの含浸。さんごの充填。
- ちなみに上記でトリートメントはどれ?
5.鑑別書
- 生成起源と宝石の種類を示したもので、「品質」「価格」の評価はしない。
- 日本では鑑別書が多くの商品につけられている。諸外国では限られた高級宝石のみが普通。
- 鑑別結果の素材名には接頭語が必ずつく。「天然ルビー」「合成エメラルド」
- 「天然◯◯には、一般にエンハンスメントが行われています」などの表記分類。
6.宝石の特性
- アステリズム、シャトヤンシーの効果と結晶構造の理解。
- 変色性:アレキサンドライト
- 遊色効果(プレイ・オブ・カラー):オパール
- パーティ・カラード:トルマリン
- カットの種類と特長
- ウィーク・ポイント---硬度、衝撃、紫外線、熱、超音波洗浄器、水分、酸とアルカリ。その具体例。

(見事な遊色効果が見られるブラックオパールのリング[楽天])
7.市場に見られるカラーストーンの種類と特性
- ルビーとサファイア。スタールビー、スターサファイア。パパラチャサファイア。産地。
- ベリル。変種としてエメラルドとアクワマリン以外もチェック。エンハンスメントとして含浸が一般的。取り扱い上の注意。「夜の宝石の女王」といえば?
- アレキサンドライトとクリソベリル・キャッツアイ。変色性とシャトヤンシー。アレキサンドライト・タイプとシャトヤンシーを示す他の鉱物は?
- オパール。ブラック・オパールとファイア・オパール、ウォーター・オパール。
- ひすい。特にジェダイト。ミャンマー。高い靭性。ワックスによるエンハンスメント。
- トパーズ。「水滴」を意味する「ピンゴ・タゴア」。-OH(水酸基)と-F(フッ素)の含有量で2タイプ。それぞれの代表例。
- スピネル。十字スターのアステリズム。アレキサンドライト・タイプ。
- トルマリン。和名「電気石」。豊富なバラエティ。「パーティ・カラード」「バイ・カラー」「ウォーターメロン・トルマリン」「パライバ・トルマリン」など名称とテキストの写真をチェック。パライバはコマーシャル・ネーム。
- ガーネット。変種に注意。「アルマンディン」「パイロープ」「ロードライト」「スペサルティン」「マラヤ」「グロッシュラー」「ヘソナイト」「デマントイド」
- ペリドート。「イブニング・エメラルド」の異名。ほの暗い証明下で輝く。劈開、摩耗に注意。
- クンツァイト。スポジューメンの一種。ライラック・ピンクが有名。
- ブルー・ゾイサイト(もっぱらタンザナイトと呼ばれる)。劈開に注意。キャッツ・アイもあり。
- 水晶/めのう。石英。水晶はアメシストとシトリンが有名。シトリンは紫の加熱が多い。めのうは「カルセドニー」「アゲート」「オニックス」に分類。特長をおおまかに捉える。ストーン・カメオの素材。
- さんご。コーラル・ポリプによって作られる。「ぼけ」「オックス・ブラッド(血赤)」「エンジェル・スキン」
- こはく。古代の松柏科の樹脂が由来。コパル樹脂(イミテーション)、加熱処理による飴色。虫入りは貴重。
II-4 真珠
御木本幸吉氏らによる世界的発明、養殖真珠について理解する。

1.真珠の歴史
最古の宝石といわれる。養殖真珠の近代史をチェック。
2.真珠はどうして出来るのか
- 外套膜⇒真珠袋⇒体内で貝殻を生成・・・このへんのメカニズム
- 養殖真珠の原理。なぜ核を入れるのか?
3.真珠の色、光沢のメカニズムを探る
- 真珠層の構造。炭酸カルシウムの微小結晶の層がたんぱく質のシートで接着されている。模式図を参照。
- 干渉色。「輝き」を伴う。色が濃くなると輝きも強くなる。「てり」という。
4.真珠養殖の工程
それぞれの工程での役割と用語、時期などを押さえましょう。
- 母貝の確保と育成----天然採苗と人工採苗。採苗とは何か?
- 仕立て---なぜ仕立てをするのか?最重要工程。
- 挿核手術---(1)貝殻を開け(2)内蔵の表面を切り(3)生殖巣までの導入路を作り、(4)核とピースを密着させて入れる。
- 養生および海事作業---体力回復のため、陸地付近に籠に入れて筏に吊る(養生)。その後(30日)沖出し。貝そうじ、塩水処理(海事作業)。半年〜2年。
- 浜揚げ。寒い時期、12月〜1月に行う。「てり」が出る。
5.アコヤ貝以外の養殖真珠
- シロチョウ真珠「ゴールド・リップ」「シルバー・リップ」
- クロチョウ真珠。タヒチ産。「ピーコック・グリーン」
- マベ半形真珠、アワビ半形真珠
- 淡水真珠。ほとんど無核真珠

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6.真珠の鑑別およびグレーディング
- 合成真珠箔による模造真珠
- 模造真珠と本物の鑑別。プラスチック系は「つるっとすべる」。本物は?
- 天然と養殖、鑑別は可能か?
- ブラック系真珠の処理鑑別---どんな鑑別法があるか?
7.真珠の手入れ
「拭く」が基本。汚れ、曇りは「剥く」
II-5 貴金属
1.貴金属とは
- 「貴」な特性をもつ金属。
- 貴金属の用件をチェック。
- 金、銀、プラチナ族6元素を覚える。
- 合金。二元合金、三元合金。多元合金。合金にするメリットは?
- カラット:宝石用ct(キャラ)と混同しない。ゴールド用のカラット:K
- 1000分率、パーミル:‰を一般に使用。750とか。900とか。
- 海外の貴金属地金相場で「トロイ・オンス」を使用している。
- WGとプラチナ。問題なし?
- ホールマーク、各規格と刻印をさらっと。
- メッキP、張りF
2.ゴールド、プラチナ及び銀
- 比重、加工のしやすさ、融点を各貴金属でチェック。
- ゴールドは合金が多いので、覚えましょう。イエロー、ホワイト、グリーン。その性質。割合。
- ゴールド。24分率をパーセント、パーミルに変換できるように。試験では計算も出ます。
- K18金20gに含まれる純金は何グラム?
- プラチナ。合金の特性。パラジウムとの合金。
- 銀。反射率。熱伝導率。経時軟化。
3.貴金属の使用上の注意、手入れ、保管方法
- 金属アレルギー
- プラチナ、金は薬品、温泉などに強いが、割金が反応する場合があります。